令和5年度 小麦作柄現地調査報告
北海道農産協会では、「令和5年度 小麦作柄現地調査」を6月20~21日、22~23日、26~27日に北海道の協力を得て実施しました。
本調査は、北海道小麦品質向上対策事業の一環として例年実施しており、小麦の生育状況、病害虫などの発生状況等を確認し、次年度以降の小麦の栽培管理に資することを目的としています。
調査にあたっては、北海道農政部生産振興局技術普及課より、片山上席普及指導員、石村主任普及指導員、千葉主査に参加いただきました。
各地の生育、登熟状況を把握するとともに、その概要を整理していただきましたので、ここにその概要を報告いたします。
なお、お忙しいなか現地にて対応・ご協力いただきました生産者様、JA・普及センター・農業試験場他関係の皆様に心より感謝を申し上げます。
令和5年7月
北海道農産協会米麦部
令和5年度小麦作柄現地調査の概要について
<調査者>(敬称略)
北海道農政部生産振興局技術普及課
北見農業試験場駐在 上席普及指導員 片山 正寿
十勝農業試験場駐在 主任普及指導員 石村 博之
農業研究本部駐在 主査(普及指導) 千葉 健太郎
<オブザーバー>
ホクレン農業協同組合連合会農産事業本部農産部麦類課 特任技監 池口 正二郎
<事務局>
北海道農産協会米麦部
部長 川部 将志
次長 北沢 善之
技監 三宅 俊秀
1.小麦作柄調査の概要
(1)全体として
- 低温等で出穂はややばらついたものの、その後の好天により開花は揃った。
- 乾燥条件が続き、開花期、乳熟期は平年並~3日程度進んでいる。
- 病害虫では、全道的に「赤さび病」「ムギクロハモグリバエ」、「ムギキモグリバエ」の発生が確認されているが、一部多発ほ場を除き、登熟への影響は少ないと見られる。
- 本調査時点において、最終的な成熟期は平年並の見込みで、穂数は平年より少ない傾向にあることから倒伏などの発生も少なく、平年並から平年以上の収量が期待される。
- 春まき小麦は、例年より出穂が早い見込み。病害虫では、繁茂している部分で「うどんこ病」が見られる。また「ムギキモグリバエ」も散見される。
(1)空知管内
- 生育は、開花期、乳熟期で平年より2~3日程度早い。
- 穂数は概ね適正数が確保されており、本調査実施時点では、倒伏の発生は見られない。
- 病害虫では、「赤さび病」が発生しているが一部を除き大きな被害はないと見られる。
- 生育は順調で、平年並~やや上回る収量が期待される。
(2)上川管内
- 生育は出穂期などで、平年より2日程度早い。
- 茎数、穂数は、地域によりバラツキがあるものの、平年並からやや多くなっている。
本調査時点で、どの地域も「なびき」や「倒伏」もなく、順調に生育している。 - 病害虫では、一部に「赤さび病」の発生が見られるが大きな被害はないと思われる。
- 生育は順調で、平年並~やや上回る収量が期待される。
(3)後志、胆振、石狩管内
- 出穂期は、平年並から2~4日進んでいる。
- 茎数、穂数は、後志、石狩では、平年並より多い傾向にあるが本調査時点では、倒伏もなく順調に生育している。
- 特に目立った病害虫もなく、平年並~やや上回る収量が期待される。
(4)十勝管内
- 生育は出穂、乳熟期で2~4日程度早い。
- 穂数は、平年並で、出穂、開花のバラツキも少ない。
- 全般的に生育は順調で、平年並~やや上回る収量が期待される。
(5)オホーツク管内
- 生育は出穂揃で平年より4~5日早い。
- 穂数は平年並で倒伏も見られない。受光態勢及び生育は良好である。
- 病害虫では過繁茂の部分で「赤さび病」が見られるが、生育への影響は見られない。
- 全般的に生育は順調で、平年並~やや上回る収量が期待される。