令和5年度 水稲作柄現地調査報告

令和5年度 水稲作柄現地調査報告

本年は8月28日から30日にかけ2泊3日の行程で、主な水稲作付地帯を2班(道南班、道央・道北班)に分けて、水稲作柄現地調査を実施しました。

本年度の調査につきましては、新型コロナウイルス感染対策を受け休止しておりました北海道優良米出荷共励会の最優秀賞受賞者のほ場の視察も併せて実施し、参加人数等を絞った形で行っております。

調査概要については、参加した北海道農政部技術普及課 李家上席普及指導員様、石岡主任普及指導員様、内田主任普及指導員様に作成していただきましたので、ここにその内容を報告いたします。

ご同行及び報告をまとめていただきました李家様、石岡様、内田様、上田主査様、またお忙しい中、現地で対応いただいた各農業改良普及センター・道総研農業試験場ほか関係機関の皆様に厚くお礼申し上げます。

令和5年9月11日
一般社団法人 北海道農産協会

令和5年度 水稲作柄現地調査の概要

道南班作柄報告

渡島地区(道南農試)

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並となった。
  • 移植作業は順調に進み、活着および初期生育は良好で、初期茎数は平年並以上を確保した。
  • 出穂期は「ふっくりんこ」で7月20日(早8日)、「ななつぼし」は7月17日(早10日)と、過去14年間で最も早い出穂を迎えた。
  • 8月の気温は北斗市としては異例の30℃を超す日が連続した。
  • 穂数は平年より8%ほど少ないものの、一穂籾数は平年並が見込まれている。
  • 早い品種では、8月28日から収穫が始まった。
道南農試 優決ほ場(すでに収穫された区も)

道南農試 優決ほ場(すでに収穫された区も)

作況を説明する丸田研究職員(左から2人目)

作況を説明する丸田研究職員(左から2人目)

渡島地区(北斗市)

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並となった。
  • 移植作業は順調に進み、活着および初期生育は良好で、初期茎数は平年並以上を確保した。
  • 作況ほの「ふっくりんこ」の出穂期は7月28日(早5日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高めで登熟も良好である。
  • 穂数は平年よりやや少なく、一穂籾数は並からやや少ない傾向である。
  • 台風と大雨の影響で、大出来したほ場では倒伏が散見される。
  • 収穫作業は9月10日からを見込む。
北斗市 優決ほ場

北斗市 優決ほ場

令和4年度 優良米共励会省力化栽培部門 最優秀賞受賞の森氏のほ場にて意見交換(左から4人目)

令和4年度 優良米共励会省力化栽培部門
最優秀賞受賞の森氏のほ場にて意見交換(左から4人目)

【檜山南部地区(厚沢部町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。移植作業も順調に進んだ。
  • 一部地域で強風による植え傷みが散見されたが、活着は概ね良好で、初期茎数の確保は平年並からやや少ない傾向であった。
  • 作況ほの「ふっくりんこ」の出穂期は7月26日(早7日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は平年並から高めで登熟は良好である。
  • 穂数は平年よりやや少なく、一穂籾数は並からやや少ない傾向である。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
  • 収穫作業は9月7日からを見込む。
厚沢部町 優決ほ場

厚沢部町 優決ほ場

作況を説明する平松主査 (右端)

作況を説明する平松主査 (右端)

【檜山北部地区(今金町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。
  • 移植作業は順調に進み、活着も概ね良好で、初期茎数の確保は平年並であった。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月23日(早8日)であった。
  • 穂揃いが良く登熟も良好であるが、育苗日数が35日以上を経過した成苗ポット苗「ななつぼし」「ゆめぴりか」では早期異常出穂の発生が目立ち、穂揃い性はやや低下した。
  • 穂数は平年並、一穂籾数はやや多い傾向であり、稔実歩合は平年並から高い。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
  • 収穫作業は8月24日からすでに始まっている。
今金町 優決ほ場

今金町 優決ほ場

昼食・外食用途として期待されている「空育195号」

昼食・外食用途として期待されている「空育195号」

【後志地区(蘭越町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。
  • 移植作業は順調に進み、活着も概ね良好で、初期茎数の確保は平年並であった。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月24日(早5日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高めで登熟は良好である。
  • 穂数は平年並で、一穂籾数は平年並からやや少ない傾向である。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
蘭越町 優決ほ場(すでに坪刈りを終えた区も)

蘭越町 優決ほ場(すでに坪刈りを終えた区も)

「ゆめぴりか」の登熟状況

「ゆめぴりか」の登熟状況

【胆振地区(厚真町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。
  • 移植作業は順調に進み、活着も概ね良好で、初期茎数は平年以上を確保した。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月26日(早6日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高い傾向で登熟は良好である。
  • 穂数、一穂籾数とも平年以上を確保している。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
  • 収穫作業は9月12日から始まる見込み。
作況を説明する竹内専普(左端) 厚真町 優決ほ場にて

作況を説明する竹内専普(左端)
厚真町 優決ほ場にて

【空知南西部地区(長沼町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。
  • 移植作業は順調に進み、活着も概ね良好で、初期茎数は平年以上を確保した。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月25日(早5日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高い傾向で登熟は良好である。
  • 穂数、一穂籾数とも平年以上を確保している。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
  • 収穫作業は9月4日から始まる見込み。
長沼町 優決ほ場

長沼町 優決ほ場

作況を説明する早勢専普(左から2人目)

作況を説明する早勢専普(左から2人目)

【石狩地区(当別町)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並であった。移植作業も順調に進んだ。
  • 活着は平年並であり、6月中旬の高温により初期茎数は平年以上を確保した。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月24日(早6日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高い傾向で登熟は良好である。
  • 穂数、一穂籾数とも平年以上を確保している。
  • 大出来したほ場では、台風と大雨の影響で倒伏が散見される。
  • 収穫作業は9月10日から始まる見込み。
当別町 優決ほ場

当別町 優決ほ場

作況を説明する大山専普(右端)

作況を説明する大山専普(右端)

【空知中央地区(中央農試水田農業部)】

  • は種作業は平年並に行われ、苗質は平年並となった。
  • 移植作業は順調に進み、活着および初期生育は良好で、6月中旬の高温により初期茎数は平年並以上を確保した。
  • 作況ほの「ななつぼし」の出穂期は7月21日(早6日)であった。
  • 穂揃いは良く、稔実歩合は高い傾向で登熟は良好である。
  • 穂数は平年並からやや少なく、一穂籾数は平年並の予想。早い品種を中心に収穫作業が始まった。
中央農試水田農業部 優決ほ場(岩見沢市)

中央農試水田農業部 優決ほ場(岩見沢市)

道央・道北班作柄報告

【上川南部地区(中富良野町)】

  • は種作業は平年並に行われた。育苗後半に高温傾向で苗がやや大きくなった。移植作業は順調に進み、移植終は5月28日で平年並となった。
  • 5月21~23日は低温・寡照だったもののその後は好天となり、活着は平年並で、初期生育は平年並を確保した。
  • 6月3半旬から高温傾向となり生育が進み茎数はやや多く、幼穂形成期は6月28日(早3日)と平年より早くなった。
  • 出穂期は7月23日(早3日)と、平年よりやや早くなった。穂揃日数は平年並。
  • 穂数は平年よりやや多いものの、一穂籾数がやや少なく、稔実歩合は平年並で、稔実籾数は平年並からやや少ない見込みである。
  • 倒伏が1割程度見られる。
  • 収穫作業は8月24日より始まっており、平年より7~10日程度早い見込みとなっている。
中富良野町 優決ほ場

中富良野町 優決ほ場

【上川中央地区(旭川市、東川町)】

  • は種作業は平年並。は種後の低温で出芽の遅れが一部で見られたものの育苗・移植作業ともに順調に進み、移植終は東川町5月25日(±0日)、旭川市5月28日(±0日)で平年並だった。
  • 活着は平年並であったものの、5月21日以降に移植したほ場では低温・寡照の影響を受け、初期生育がやや不足する圃場が見られた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は順調に進み、茎数は平年並~多くなった。幼穂形成期は東川町6月27日(遅1日)、旭川市6月25日(早2日)と平年並となった。
  • 出穂期は東川町7月24日(早1日)、旭川市7月21日(早4日)と平年並~やや早くなった。穂揃日数は平年並~やや長くなった。
  • 穂数は平年より多く、一穂籾数は平年並からやや少ない。稔実歩合は平年並であるものの、稔実籾数は平年並~やや少ない圃場も見られる。
  • 倒伏が散見される。
  • 収穫作業は一部で始まっており、平年より早まる見込みになっている。
東川町 優決ほ場

東川町 優決ほ場

旭川市永山地区 優決ほ場

旭川市永山地区 優決ほ場

【上川中央地区(上川農試)】

  • は種作業は平年並に行われ、育苗後半の高温傾向で苗がやや大きくなった。移植作業は順調で、移植期は5月19日で平年並。
  • 活着は平年並だが、5月5半旬からの低温・寡照で、分げつの発生が遅れた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は回復し、茎数は平年並となった。幼穂形成期は6月21日(早2日)と平年並であった。
  • 出穂期は7月16日(早5日)と平年より早く、穂揃日数は平年並であった。
  • 穂数、一穂籾数とも平年よりやや少なく、稔実歩合は平年より高い。稔実籾数は平年並からやや少ない見込みである。
  • 倒伏が一部に見られる。
  • 収穫作業は平年より早い見込みとなっている。
上川農試 作況ほ場

上川農試 作況ほ場

作況ほの「ゆめぴりか」

作況ほの「ゆめぴりか」

【上川北部地区(名寄市、士別市)】

  • は種作業は平年並に行われた。は種後の低温で出芽遅れが一部で見られたものの育苗・移植作業ともに順調に進み、移植終は士別市6月1日(遅2日)、名寄市5月27日(早2日)で平年並だった。
  • 活着は平年並であったが、5月5半旬からの低温・寡照で、分げつの発生に遅れが見られた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は順調に進み、初期茎数は平年並~多くなった。幼穂形成期は士別市6月27日(早5日)、名寄市6月26日(早4日)と平年より早まった。
  • 出穂期は士別市7月24日(早3日)、名寄市7月25日(早2日)と平年並~やや早くなった。穂揃日数は平年並~やや長くなった。
  • 穂数は平年より多いが、一穂籾数は平年並からやや少なく、稔実歩合は平年並だった。稔実籾数は士別市でやや多く、名寄市でやや少ない見込みである。
  • 倒伏が散見される。
  • 収穫作業は平年より早まる見込みとなっている。
士別市 優決ほ場

士別市 優決ほ場

名寄市 作況ほ「はくちょうもち」

名寄市 作況ほ「はくちょうもち」

【留萌地区(留萌市)】

  • は種作業は平年並だが、は種後の低温で苗の葉令はやや少なくなった。育苗・移植作業は順調で、移植終は5月28日(±0日)で平年並だった。
  • 活着は平年並であったものの、5月5半旬からの低温・寡照で、分げつの発生に遅れが見られた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は徐々に回復し、初期茎数は平年並を確保した。幼穂形成期は6月27日(早2日)と平年並だった。
  • 出穂期は7月22日(早4日)と、平年よりやや早まった。穂揃日数は平年並だったが、主茎が早く出穂し穂揃いに時間を要す圃場も見られた。
  • 稔実歩合は平年よりやや低下したものの、穂数が平年よりやや多いため、総籾数は多くなり、稔実籾数は平年並からやや多い見込みである。
  • 倒伏が散見される。
  • 収穫作業は平年より早まる見込みである。
留萌市 優決ほ場

留萌市 優決ほ場

【空知北部地区(深川市)】

  • は種作業は平年並だった。育苗・移植作業は順調に進み、移植終は5月27日(早2日)で平年並だった。
  • 活着は平年並であったものの、5月5半旬からの低温・寡照で、分げつの発生に遅れが見られた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は徐々に回復したが、初期茎数は平年より少なくなった。幼穂形成期は6月24日(早4日)と平年よりやや早まった。
  • 出穂期は7月22日(早4日)で平年よりやや早く、穂揃日数は7日間と平年より2日短くなった。
  • 穂数は平年より少なく、一穂籾数もやや少なかったため、稔実歩合は平年並であるものの、稔実籾数は少なくなる見込みである。
  • 倒伏が散見される。
  • 収穫作業は一部で始まっており、平年より早い。

深川市 優決ほ場

深川市 優決ほ場

優決ほの「ふっくりんこ」

優決ほの「ふっくりんこ」

【空知中部地区(新十津川町・美唄市)】

  • は種作業は平年並だった。育苗・移植作業は順調に進み、移植終は新十津川町5月26日(早1日)、美唄市5月26日(±0日)で平年並だった。
  • 活着は平年並であったものの、5月5半旬からの低温・寡照で、分げつの発生に遅れが見られた。
  • 6月4半旬からの高温で生育は回復したが、初期茎数の確保には地域差が見られ、平年並~やや少な目であった。幼穂形成期は新十津川町6月26日(早1日)、美唄市6月27日(早4日)と平年並~やや早い程度。
  • 出穂期は新十津川町7月21日(早4日)、美唄市7月23日(早6日)と平年よりやや早~早くなった。穂揃いは良好であった。
  • 穂数は平年並~やや少なく、一穂籾数は平年並、稔実歩合は平年並~やや高めで、稔実籾数は平年並~やや少ない見込みである。
  • 倒伏が1割程度発生が見られる。
  • 収穫作業は一部で始まっており、平年より早まっている。
新十津川町 優決ほ場の「ゆめぴりか」

新十津川町 優決ほ場の「ゆめぴりか」

美唄市 優決ほ場

美唄市 優決ほ場

令和4年度 優良米共励会直播栽培部門 最優秀賞受賞の加藤氏ほ場(美唄市)を視察調査

令和4年度 優良米共励会直播栽培部門
最優秀賞受賞の加藤氏ほ場(美唄市)を視察調査

【オホーツク地区(北見市)】(別日程にて追加調査)

  • は種作業は平年並。育苗・移植作業は順調で、移植終は5月29日(±0日)。
  • 活着は平年並で、5月5半旬の低温の影響が一部に見られたが、分げつの発生は順調であった。
  • 6月4半旬からの高温で茎数は早期に増加し、平年並を確保した。幼穂形成期は6月27日(早5日)と平年より早くなった。
  • 出穂期は7月24日(早6日)と平年よりやや早くなった。穂揃いは良好。
  • 穂数は平年並、一穂籾数は平年より多く、稔実歩合は平年並で、稔実籾数は平年より多い見込みである。
  • 倒伏は部分的に見られる程度である。
  • 収穫作業は9月5日開始を予定しており、平年より早い10日程度早い見込みとなっている。
北見市 作況調査ほ場

北見市 作況調査ほ場

北見市 優決ほ場

北見市 優決ほ場

総合検討会における協議事項について

両班による調査終了後、道農政部(技術普及課道南農試駐在)李家上席普及指導員を座長とする総合検討会を開催し、本調査のまとめと課題整理を行いました。

  1. 気象経過のポイント
    1. (1)6月中旬から気温の高い状態が継続した。その原因は太平洋高気圧が本州付近まで大きく張り出し、その高気圧の縁に沿って南から暖かい空気が流入し続けているためである。ラニーニャ現象の影響で海水温が上昇していることや、地球温暖化で大気全体の温度が上昇していることも関与している可能性がある。
    2. (2)その結果、5月を除いて、最低気温のラインが、平均気温の平年値並に高く推移する状態が続いた。
  2. 生育経過の概要
    1. (1) 3月は非常に暖かく、雪解けが非常に早かった。旭川で3月23日(早15日)、岩見沢が3月28日(早9日)であった。
    2. (2) その後、4月は比較的好天で経過、は種期は4月19日で(早1日)、は種後の出芽期も4月25日(±0日)と平年並で推移した。
    3. (3) 5月も総じて好天で経過し、水田耕起盛期は4月29日で平年より3日早く、育苗もおおむね順調であった。また、移植終・活着期はともに5月27日(±0日)で平年並となった。
    4. (4) 分げつ始も6月4日で平年並となったが、この辺りから高温傾向が顕著となり、生育進度は前進化した。具体的には、幼穂形成期は6月27日で平年並より3日、出穂期が7月23日で4日、直近の作況報告(8月15日現在)で6日、平年の成熟期は9月13日であるが、7~10日程度(予想成熟期:9月6日)は早くなる見込みである。平年の収穫始は9月17日ではあるが、適期収穫の励行により10日程度早まる見込みである。ちなみに、令和3年は成熟期で7日、収穫期は適期刈りの推進により9日早まっている。
    5. (5) 本年の生育で特徴的なのは、初期茎数の順調な確保である。6月上旬の日照不足により、6月15日の茎数は233本/㎡で平年対比98%であったが、中旬以降は高温・多照となり、分げつ発生が盛んになった。このため、7月1日の茎数は609本/㎡と、平年対比で12%も多くなった。
       7月に入っても高温傾向は継続し、最高分げつ期の前進化が見られた。このため、7月15日の茎数は630本/㎡と、平年対比で3%減少した。穂数は当初、平年を上回ると期待していたが、8月15日現在の作況調査では594本/㎡と平年並にとどまっている。ただ、全道平均では平年並だが、地域差が大きいのも特徴である。
  3. 産米の品質について(調査時点での見通し)
    1. (1)胴割粒の発生について
       胴割粒は、登熟初期の高温により多発することが知られている。出穂期後1~10日の平均日最高気温が高いほど、胴割率は高い傾向を示す。また、同一条件においても品種間で胴割率に差が見られる。本年は出穂始から高温状態が継続したので注意が必要である。
      ※「令和3年高温による収量・品質影響調査」(農業改良普及センター調べ)

      1. ア 出穂期後1~10日の平均日最高気温が30℃を超えると、胴割率は高くなった(図1)。
      2. イ 胴割率は、出穂期後1~10日の平均気温および最高気温との間に正の相関関係が認められた。また、出穂期後1~10日および21~30日の降水量との間に負の相関関係が認められた。(表1)。
    2. 図1 日最高気温(出穂後1-10日)別の胴割粒発生割合(令和3年産米高温による収量・品質影響調査)

      図1 日最高気温(出穂後1-10日)別の胴割粒発生割合
      (令和3年産米高温による収量・品質影響調査)

      表1 登熟期間の気象条件と胴割率の相関関係(令和3年産米高温による収量・品質影響調査)

      表1 登熟期間の気象条件と胴割率の相関関係
      (令和3年産米高温による収量・品質影響調査)

    3. (2)白未熟粒の発生について
       出穂後20日間の日平均気温が26℃前後を超えると、未熟粒のうち玄米の一部が白濁した「白未熟粒」が急速に増加し始めると言われている。前述のとおり、本年は出穂始から高温状態が続いたので注意が必要である。
  4. 病害虫の発生状況
    1. (1)いもち病
      1. ア 北海道病害虫防除所の発表によると、発生量は「多」となっている。
      2. イ 予察田の「きらら397」における穂いもちの初発期は、岩見沢市で7月31日で早13日、比布町では7月31日で早6日、北斗市で7月28日で早11日と各地点で平年より早かった。8月4半旬時点の発生量はいずれの地点においても平年より多く、節いもちの発生も平年より多く推移している。
      3. ウ しかし、生産現場においては適切な防除対策の実践により、実害はほとんどみられていない。
    2. (2)アカヒゲホソミドリカスミカメ
      1. ア 7月上旬の好天により発生量が多くなり、北海道病害虫防除所からは8月日付けで注意報が発表された。
      2. イ その後も高温少雨により発生量は高く推移している。
  5. 今後の技術対策について
    1. (1)整粒歩合を高めるため、5つの重点項目に取り組む。
      1. ア 成熟期が近づいたら、こまめに試し刈りした上、玄米判定を実施して収穫適期を正確に判断する。
      2. イ 刈り遅れによる品質低下(茶米、サビ米、胴割粒など)を招かないよう適期に収穫する。
      3. ウ 品質向上のため、倒伏が発生しているほ場、白未熟粒、胴割粒の混入が見込まれるほ場、いもち病被害が大きいほ場等は別収穫を行う。
      4. エ 二段乾燥と丁寧な調製を行い、胴割粒の発生を防ぐ。
      5. オ 異品種混入を防止するため、作業場や機械の清掃を行うとともに、計画的に作業を進める。
    2. (2)倒伏・病害発生ほ場における収穫作業のポイント
      1. ア 倒伏した部分は、「追い刈り」でコンバインの作業速度を落として丁寧に刈り取る。また、倒伏した部分の籾と通常の籾を一緒にすると、品質低下を招くおそれがあるため別収穫とする。同様にいもち病等の被害部分も別収穫し、品質の劣った米が混じらないようにする。
      2. イ 倒伏面積が大きいほ場では、重なり合った部分は乾きにくく、籾水分も高いため、収穫乾燥作業に時間を要する。また、倒伏部分は登熟も緩慢となり品質の低下が見込まれるため、その点を留意して作業を行う。
    3. (3)胴割粒の発生防止対策
      1. ア 発生要因の一つとして、刈り遅れによる主稈の水分低下がある。収穫期の降雨や籾水分が25%以下になると発生のリスクが高まるため、適期収穫に努める。特に遅れ穂の登熟待ちは発生を助長するため、玄米判定に基づいて適期に収穫する必要がある。
      2. イ また、乾燥初期の水分が高いうちに急激に乾燥させることにより発生が助長される。このため、穀温はできるだけ低くすることが望ましく、乾燥開始時は40℃以下(毎時乾減率が0.5%~0.6%程度)になるよう設定する。籾水分が25%未満になったら、通常の温度で乾燥(毎時乾減率が0.5%~0.8%)を行う。二段乾燥は「胴割れ」の発生を防止する重要な技術なため積極的に取り組む。過乾燥も「胴割れ」の発生を助長するため、玄米水分14.5%~15.0%で仕上げる。