令和4年度小麦作柄現地調査報告
令和4年 秋まき小麦起生期現地調査の概要について
4月18日から22日まで、北海道、地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部の協力を得て、各地の越冬状況を把握し今後の栽培管理に生かしていくことを目的に秋まき小麦起生期現地調査を実施しました。調査先として、各地域の秋まき小麦優良品種決定現地試験ほ(優決ほ)、生育状況調査ほ、令和3年度北海道麦作共励会での各賞受賞者のほ場、北見農業試験場など、全道16地点を選定しました。
調査概要につきましては、道農政部生産振興局技術普及課 上堀上席普及指導員、片山総括普及指導員、花岡主任普及指導員に作成していただきましたので、ここにその内容を掲載いたします。
上堀上席普及指導員、片山総括普及指導員、花岡主任普及指導員、お忙しいなか現地対応いただいた生産者様、JA、普及センター、北見農業試験場ほか関係の皆様に感謝申し上げます。
令和4年5月
一般社団法人 北海道農産協会
令和4年 秋まき小麦起生期現地調査結果の概要について
<調査者>
北海道農政部生産振興局技術普及課 北見農業試験場駐在 上堀上席普及指導員
北海道農政部生産振興局技術普及課 片山総括普及指導員
北海道農政部生産振興局技術普及課 十勝農業試験場駐在 花岡主任普及指導員
<オブザーバー参加>
北海道農政部生産振興局農産振興課 鬼塚主事相当
<事務局>
一般社団法人 北海道農産協会 米麦部
1.全道の概況
播種は概ね平年並であった。その後は高温傾向で経過し根雪が遅かったことから、越冬前の生育は良好であった。
3月にまとまった降雪があったものの、一部地域を除き融雪は平年並からやや早く、起生期もやや早まった。
雪腐病の発生面積は平年よりやや多かった。防除後に降雨が多く、防除効果が低下したものと思われるが、生育への影響はほとんどないと見込まれる。
縞萎縮病の発生は昨年より軽度である。
現時点では茎数がやや多い地域があるが、生育は概ね順調である。
石狩(千歳市)、胆振(安平町)
対応:石狩農業改良普及センター 畑作担当者
胆振農業改良普及センター東胆振支所 畑作担当者
播種は、ほぼ平年並みであった。
秋が長く高温となったことで越冬前の生育は良好であった。
3月のまとまった降雪により融雪はやや遅く、起生期もやや遅れた。
雪腐病の発生面積は多かったが程度は軽く、生育への影響は少ないと見込まれる。
後志(真狩村、倶知安町)
対応:後志農業改良普及センター 畑作担当者
JAようてい 地域担当者
播種は、平年並みであった。
秋が長く高温となったことで越冬前の生育は良好であった。
3月のまとまった降雪により融雪はやや遅れ、起生期も遅れた。
雪腐病の発生面積は多かったが程度は軽く、生育への影響は少ないと見込まれる。
空知(岩見沢市、深川市)
対応:空知農業改良普及センター 畑作担当者
岩見沢市農業試験圃 担当者
空知農業改良普及センター北空知支所畑作担当者
空知地区米麦改良協会 担当者
播種は、平年並みであった。
秋が長く高温となったことで越冬前の生育は良好であった。
3月のまとまった降雪により融雪はやや遅れたが、好天により起生期は早まった。
雪腐病の発生は少なく生育は順調である。
上川(美瑛町、士別市、名寄市)
対応:上川農業改良普及センター士別支所 畑作担当者
上川農業改良普及センター名寄支所 畑作担当者
ホクレン旭川支所 担当者
播種は早く、越冬前の生育は良好であった。
雪腐病防除後に降雨が多かったが根雪期間は短く、雪腐病の発生は少なかった。
越冬後の茎数は平年並~やや多い状況にある。
十勝(中札内村、更別村、豊頃町)
対応:十勝農業改良普及センター 畑作担当者
十勝農業改良普及センター十勝東部支所 畑作担当者
十勝地区米麦改良協会 担当者
播種は、平年並みであった。
秋が長く高温となったことで越冬前の生育は良好であった。
根雪が遅かったことから積雪期間は短かったが、3月のまとまった降雪により起生期はやや遅れた。越冬後の茎数はやや多い状況にある。
雪腐病防除後に降雨が多く、雪腐病の発生が平年よりやや多かったが、生育への影響は少ないと見込まれる。
オホーツク(訓子府町、北見市、小清水町)
対応:道総研農業研究本部 北見農業試験場研究部 麦類畑作グループ
北見農業改良普及センター 畑作担当者
北見農業改良普及センター清里支所 畑作担当者
JAこしみず 販売部 担当者
網走地区米麦改良協会 担当者
播種は、平年並みであった。
秋が長く高温となったことで越冬前の生育は良好であった。
根雪は遅かった。3月にまとまった降雪があったが融雪はほぼ平年並で、積雪期間は短かった。越冬後の茎数はやや多い状況にある。
雪腐病の発生面積は平年よりやや多いが、生育への影響は少ないと見込まれる。
縞萎縮病の発生が見られたが、昨年より軽度である。
2.今後の栽培管理について
秋まき小麦の越冬状況は概ね良好でありますが、越冬後の茎数が多いほ場も見られることから、生育状況に応じて窒素追肥量を加減するなど、倒伏の予防が重要です。
また、今後もほ場観察を行い、病害虫の適正防除に努めて下さい。